読書メモ 「Yコンビネーター」

最近、かなり読書量が増えたので、基本的には自分のメモとして、ブログに読書感想文的なものを書いていこうと思う。僕は読書の際に、気になる箇所についてはページの端を折っている。このブログではその折ったページのうち、数カ所ずつ引用していく。

第一回は「ハッカーと画家」で有名なポール・グレアムが中心となる「Yコンビネーター」である。

p.50より

1996年の末になってもヴァイアウェブには70人くらいのユーザしかいなかった。これはグレアムの「成長はゆっくりでいい」という考えから来ていた。ユーザがわずかならグレアムと創業者たちはソフトウェアの改良が簡単にできる。

この考えは賛同できる。成長のペースが速すぎると、インフラのスケールアウトやら障害対応やら、目の前の作業のコストが高くなりすぎる。急激に成長して利益がついてくる場合、株主は喜ぶかもしれないが、現場のソフトウェアエンジニアの余裕がなくなると、サービスの中長期的な成長にマイナスの影響があると思う。

p.86より

ソフトウェア・スタートアップの世界では創業者は「エンジニア」と「それ以外」に二分される。エンジニアとはコードを書く人間で、コードを書かない人間は「それ以外」だ。

コードを書かない人間は「それ以外」だと思う。
コードを書かない人間は「エンジニア」ではない、ということだ。
僕は生涯エンジニアで有り続けることがひとつの目標なので、つまりそれは死ぬまでコードを書くということだ。

p.177より

スタートアップの創業者がハッカーであるかぎり、ビジネス面に時間を割くことに問題はない。ハッカーは時間さえあればプログラミングしていたいはずだからだ。ビジネス面の仕事をやっているならそれは必要に迫られてのことだ。ハッカーの創業者の問題はむしろビジネス面に注意を向けさせるのが難しい点だ。

…なるほど…という感じ。僕自身はスタートアップの創業メンバーであり、かつハッカー(スタートアップの中心になるソースコードを書く人間)であると考えているので、上記引用部分については常に頭にいれておきたい。

p.250より

カンが大学で身につけた知識とスキルのうち、現在IT系起業家として役立っているのは、ごくわずかだ。

日本の大学はクソ(主に、入るのが難しく、出るのは簡単という意味で)だが、アメリカの大学はかなり実用的な教育をしてくれるのでは、という漠然とした根拠のないイメージを何となく持っていた。しかし上記を読む限り同じようなものなのだろうか。どちらにせよこの時代、大学に物理的に通っている時間があったらネットで情報を収集して勉強しても同じかそれ以上のレベルに到達できる気はする。ただ、友人を見つけるという意味では大学の存在には意味があると思う。

全体を通してこの本から感じた点は以下の通り。

Yコンビネーターは優秀なハッカーによって構成されるスタートアップがビジネス面での成功を達成するためのひとつのパターンを作り上げていて、それは日本(東京)でも同じことが達成できると思う。なので、誰かそういうのが好きでお金を集める力がある人が、Yコンビネーターをまるパクリで東京でやれば面白いと思う。ハッカー2〜3名のチームを数十チーム(物理的に東京に)集めて全チームに初期に200〜300万円投資し、数ヶ月の間に具体的にウェブサービスを軌道に乗せさせる(実は上記で引用した「成長はゆっくりでいい」という考えとは逆行している!)。そしてどこかにバイアウトしてもらえれば、成功。イグジット。

でも、その後は?イグジットが目的でいいのかな?と思う。「Yコンビネーター」を読み終えて僕には猛烈な違和感が残った。もう少し僕自身に近いものなのかと考えていたけど、それはまるで違った。

ポール・グレアムは各ウェブサービスに対し、週単位、日単位でサービスの「ユニークユーザ数的な指標となる数値」が上がることを要求する。これは繰り返しになるが「成長はゆっくりでいい」という考えとは相反するものだ。また、基本的には鬼コーチ的なムードのようで、「まぁ気軽にリラックスしながらスタートアップしようよ」という感じではない。僕は苫米地英人氏の著書が好きで良く読むのだが、彼から教わった大事なことは、どんなときでも適度なリラックスが必要だ、ということだ。自身の経験からも、普段から常にリラックスしている方が、よいアイデアが浮かぶと思う。Yコンビネーターではリラックスはあまり歓迎されないように読めた。

個人的な考えとして、サービスはユーザと、サービス運営チーム自身を幸せにするものであるべきだ、というものがある。ユーザ目線で考えれば、サービスが「猛烈に成長すること」「ユーザが爆発的に増えること」よりも、「安定して長期間運営されるサービスであること」が大事だ、というケースは多いと思う。ウェブサービス主体の時代になってイヤになるのは、気に入ったサービスがあっても、人気がないと数年でたたまれてしまうことだ。自分のPCにインストールするタイプのソフトウェアであれば、開発元が倒産したって、手元でいつまでも使い続けられる。僕の手元では、今日も、昔のThinkpadについてきた、「王様の翻訳バイリンガル」というソフトが動いている。もう10年以上前に買った物だと思う。果たして僕たちは進化しているのか?Yコンビネーターでは「サービスがユーザに対して継続的に価値を提供する」ことについてどのように考えられているのだろうか。

このように読後感は悪かったけれど、知識として持っておきたい内容だったので、この本は読んで正解だったと思う。

Advertisements


Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s